言葉のない場所へ


すっかり時間がたってしまいました。
前のお便りから半年もすぎていた。

インドネシアから日本へもどり、三ヶ月ほど過ごしました。

つくったものを、たくさんの人に見てもらい手に取ってもらった、
手応えのある三ヶ月だった。ありがとうございました。


ナパスを始めてからは、毎日ほそぼそとでもナパスのことを考える日々です。
こんなに心の支えというか中心になるものが今まであっただろうか、
というほど気持ちよいくらいに大きな存在になってきました。

どれもインドネシアが与えてくれた自由が「もと」になったなぁ、
と離れてみてひしひし感じる毎日です。

あれもこれも、作りたいものを叶えてくれる土地と人。
好きすぎて、悪いところも知って、すこし距離をおくような、
まるで恋人のような存在になった、インドネシア。


なにはともあれ、どうやって導かれたのか自分でもまだ不思議なのですが
二週間前くらいに、西の果てはポルトガルへやってきました。

すっかり下手になってしまった英語でどうにかなるものの、
みんなわたしにはわからない言葉を話す国です。
異国ではあるけれど、ここは発展途上の土地ではなくて、
日本でするような生活が叶う、あまり不自由しない環境です。

よって、不自由なのは言葉だけ。

インドネシアでの暮らしではなかった、これまた不思議な感覚。
自然と自分の口から発する言葉も減り、外界から受けとる言葉も減った。
英語を駆使してでも説明すべきこと、というのもあまりない状況だったりして
驚くほど「話さない」日々が始まりました。


いつもは外国語を積極的に学んできたけれど。
なんだか今の状態もおもしろいなぁと。
もちろん深い会話というのができないので楽しくはないけれど、
何かが研ぎ澄まされていくような。

このまま言葉を覚えずに、形やつくるもので何か伝えていくのも
それはそれで面白い、なんて思ったり。
まぁ、必要もあるので基礎は学ぶのだろうけど。


世にも不思議な、自分の言葉を持たない夏がやってきました。


日本やインドネシアのべたべたした、
言い換えるといやらしさのある暑さはなく
まるで乾いた、ただただ太陽が直接肌に焼き付ける夏です。


さて、土地変われば生み出すものも変わるでしょうか?
たのしみです。




あ、書こうとしていたことといえば、

インドネシアで大切に手織りされた
もめん布でつくった夏服、鎌倉大町のピピッタパンさんでお手にとっていただけます。

風をよく通しつつも しっかりした生地なので、
秋のはじめまで楽しんでもらえるかな。

種類は残り少なくなってしまいましたが、ぜひお手にとってみてください。
来期も服をつくっていく糧となります、

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phiphitthaphan(ピピッタパン)
鎌倉市大町1-2-18
鎌倉駅東口より徒歩10分
営業時間 10:00~18:00

定休日 毎週水曜・第三火曜



若きフォトグラファー・ジョグジャのケマルくんが撮ってくれた写真を載せます。
モデルを手配する間もなく「撮っちゃおうよ!」と撮っちゃったものなので、
わたしがモデルなのは無視してください。

自分が着たいものをまずは作ってみたので、
とにかく毎日着倒しています。
生地もしなやかで強いし、軽いし、とにかく日本人に似合う服だと思います。














photo : Kemal Yusuf





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